前回に続き今回は少しだけペストについて調べてみたいと思います。
ペストは「黒死病」とも呼ばれ、1346〜1353にパンデミックを起こしたペスト菌による病気です。皮下出血により皮膚が黒ずんで見えることから「黒死病」と呼ばれました。ネズミなどに寄生するノミの体内にこのペスト菌が入りこのノミに刺されたり、ノミによりペスト菌に感染した血液に触れ感染しました。またヒト同士でも感染しました。死者を2億人弱出し、ヨーロッパの1/3が亡くなったと言われています。
ここまで死者を出すに至った理由として、当時の気候が関係していたようです。中世は「小氷河期」でした。暖を取るためには薪を暖炉で燃やしていたのですがあまりに寒く薪が足りなくなってきます。そして服などを十分に乾かすことが難しくなり、湿った衣服にペスト菌を持ったノミが大繁殖しヨーロッパ中に広まりました。さらに寒すぎて農業もうまくいかず、飢餓に陥ったことも感染を拡大につながったとされてます。
ペストと聞いて「くちばしマスク」を思い浮かべるかもしれません。もちろん当時の医療は今ほど発達していません。ペストは鳥によって感染するものと考えられていました。そのため医者たちはくちばし型のマスクをつけ患者の病気を鳥に移し治すという意味があったようです。また、マスク内に香りのするミントやバラなどを入れていました。これも、病気は悪臭により広がるものと思われていたためです。今考えるととても医学的とは言えないものでした。他に、杖を持っているのですがこれは直接患者に触るのを避けたり、暴れた患者に対処するために使われたようです。また必ず帽子をかぶっていて、これはペスト医師であることの証明、スーツは首から足先まで覆い肌の露出を最小限に抑えました。いろいろ対策したようですが実際多くの医師が感染に亡くなりました。この対ペストの服装は懸命に戦った医師たちの姿でありましたが、恐怖の象徴となってしまいました。
長くなってしまいましたが最後に、ペスト医師たちが命をかけペストと戦ったことは現代のコロナと戦う医療従事者と同じかもしれません。頑張ってくださる現代の医療従事者に感謝したいと思います。